Category: 科学・技術
要するに自律航法システムが目標を見失ったって事らしい。
うーん、探査機に搭載されてるコンピューターって処理速度が遅いからなぁ。なにしろ20年前のパソコン程度の性能しかないんである。むしろこれで自律航行できる方が驚きなのだ。地形が複雑になると対処しきれなくなるのかなぁ。
近距離用の距離測定装置のテスト
ターゲットマーカー(目標地点をレーザーで確認するための反射鏡)の投下
10センチ程の小さな探査ロボット「ミネルバ」の投下
が予定されていたけれど、全て中止。残念。
2つの姿勢制御装置が壊れた時にはもうだめかと半分諦めたんだけど、関係者は諦めなかったのだね。頭が下がる。
この諦めない姿勢でなんとか次のテストや本番にも挑戦して欲しい。
特に探査ロボットは何とか投下して地表の岩質を見たいもんだ。
幸い懸念されていた燃料はもう一度リハーサルを追加する分くらいは残っているらしい。
いずれにしても計画の練り直しなんだけど帰還軌道の関係で12月の頭には「イトカワ」を離れなければならないらしい。その間にNASAの地上局が使えるかが問題ってのも何だかなぁ。
どんな衛星を作っても結局運用はアメリカの都合次第ってのも情けない話しではあるぞ。
9月にはランデブー飛行に入って詳細な情報を送って来ていた。
最新の画像を見ると、1メートル以下の小さな岩まではっきり見えて、よくぞここまで、なんて思っちゃう。今回、中止したとはいえ500メートルの距離までは近付いたんだから更に高解像度の写真も撮影されているはずで、公開が楽しみ。
でもこれ、本当に砂糖をまぶしたカリントウのようだ。粒々の小さな岩がへばり付いてる。
小惑星って言うとでっかい岩石のような、ジャガイモのようなイメージが有ったけれど、表面を詳細に見ると実際はかなり違うものなんだな。
月の様に重力が強くないから近くの小天体を引き寄せても激突してクレーターにならずに形が残って堆積してるって事だろうか。
逆に言えば簡単に引き剥がされて飛び散って新たな小惑星が作られるって事にもなる。これはこれで驚きだ。
この後、二度の着陸(といっても滞在時間はほんの1秒か2秒なんだけど)とサンプル採集が上手くいく事を願うばかりだけれど、それより何より、ここまでの成果が上がったんだから無理をせずに必ず帰って来るんだよ〜。
でもって、先日のディープインパクトの観測結果がぽちぽち出てきた。
以前は新聞の記事にならないような情報は専門誌を見ない素人では知りようがなかったけどネットのおかげで簡単に知ることが出来る。
ディープインパクト続報 ...アストロアーツ
インパクター衝突の瞬間、巻き上がった雲はパウダー状の塵、しかも表面はかなり硬いようだ。
「彗星-汚れた雪だるま説」だと、私など下手をするとズボっと潜り込んじゃうんじゃないかとさえ思ってたけど (^-^) これはかなり意外。
更なる解析で彗星の姿が現わされるのを待ちたい。
そして、もう一つの原始太陽系の情報を残す天体、小惑星に向かっている我等がはやぶさ(MUSES-C)。
この夏、目的の小惑星「イトカワ」に到着予定で、距離的には現在地球と月の距離の1/3位のところまで近付いている。でもアポロは月まで3日で行ったから明日には着くな、なんて思わないように。
アポロは推進装置も違うし、月の場合重力で落ちて行けば良いのだが、こちらはイオン推進っていう超低加速、省燃料でカメの様に這い進んでるんである。
「アルマゲドン」の中で「小惑星にも重力は有る!」なんてブルース・ウィリスが威張ってサンドバギーみたいな車をぶっ飛ばしてたけど、確かに重力は有る。ただし小惑星の大きさにもよるけど1mの高さから鉄球を(羽でも同じだけど)落とした時、着地まで1時間とか1日かかるなんてレベルだから(タイヤで走れるわきゃないよ)10万キロの彼方での重力加速度なんて無いに等しい。
おっと、話がそれたけど今のところ順調なようだ。
地表のサンプルを持ち帰るってのは大風呂敷にも思えるけど、現在の日本の技術でどこまで出来るかは興味深いところ。心の隅で期待はしてる。
ただし、射手座は星占いで11月23日から12月21日生まれの人の星座(オレだよ)であるように、この時期、太陽のすぐ近くにある。しかも光ったのは可視光ではなくガンマー線だからそれを目撃した人はいない。しかし、これは観測史上最大の明るさだったのだ。つまり想像を絶するガンマー線バースト。
そのエネルギーがどのくらいかというと太陽が発するエネルギーの15万年分が0.1秒の間に放出されたことになるそうな。
周辺の物質を光速の30%という相対論的スピードで吹き飛ばし、もしこれが地球から10光年以内で起きていたら地球のオゾン層は吹き飛ばされて、地上の生命は絶滅していたという。もっとも、そんな近くにパルサーがあったら生命が発生したかは疑問だけど。
少し前(2/18)のリリースだがNASAが詳細を発表した。
NASA・ホームページより ← 機械翻訳
簡単な日本語の記事 ←朝日サイエンス
震源は「SGR-1806-20」という中性子星。これはマグネター(magnetic starの略)として知られる(いや、こんな星、最近知ったんだが)超強力磁石が高速回転してる星の一つなんだけど、そこで磁気リコネクションという現象が起きたのだそうな。
この現象について調べたのだけれど今のところ何の解説も見つからなかった。言葉どうりに受け取れば磁気、もしくは磁場の繋ぎ替え。
地磁気の一千兆倍もの磁場が数秒(この場合、7.5秒)のサイクルで回転していれば、"場"としてのストレスが溜まってきて、ある時、一気に放出する、というのは感覚的に理解できる(ような気がする)が、もう少し具体的なメカニズムが知りたい。
また、NASAの記事の中でちょっと触れている"星震"は「竜の卵」の続編「スタークェイク」(作者名忘れた)の設定そのものなんだけど、これもよく解らない。
中性子星(ブラックホール一歩手前の星)に関しては一般人向けの情報って少なすぎる。もっと噛み砕いた解説が欲しい。
それにしても宇宙では人が想像もしないような現象がまだまだ起こっているのだな。
うーん、凄い時代になったもんだ、土星の衛星の地表が見られるってのは。
あまりに大胆な計画だったので成功するか半信半疑だったのだが見事に成功させた。うーん、凄い。
なんだ、この丸いごろごろした石は、と思ったら氷なのか。それにしてもなぜこんなに丸いのだろう。月や火星の地表とはだいぶ違うようだ。これから大量の情報が入ってくるのが楽しみだ。
ま、その辺はこれから学者先生が解析していろいろ教えてくれるのを待つとしよう。
それにしても惑星探査は時間が掛かる。主に経済的理由だけれど、今回のミッションも20世紀の末に出発して21世紀になってやっとたどり着いた。ボイジャーとかの時もそうだったけれど、すっかり忘れた頃にニュースが飛び込んでくる。今も幾つかの探査機が飛んでるんだけど情報は無い。そう云やMUSES-C なんてのも有ったよな。うまく行ってるか否かは関係者しか知らない。まあ、やばくなれば何かアナウンスがあるだろうから、便りの無いのは良い便りってことで。
で、カッシーニとホイヘンスって、どちらも土星に縁の深い学者でぴったりのネーミングだと思うけど、ホイヘンスって云うと遊星仮面を思い出しちゃうのだよね。ピネロン星の総統。個人的にはハイゲンって呼び方のほうがなじみ深いんだけど。
http://www.nao.ac.jp/pio/20050107machholz/index.html 国立天文台・マックホルツ彗星
ってことで久々の天文ショウ。すばる(プレアデス星団)と惑星が接近することはよく有るけど彗星がこんなに接近するのは珍しい。しかも冬の空気が澄んだ時期で光度も3.6等級と比較的明るい。
これは見なくちゃならんだろう、ってことで久々に双眼鏡を引っ張り出して観察 見物。
8時頃に見たときは薄雲がかかってオリオン座すら確認できず、10時頃、再度見てみる。残念ながら横浜では明るすぎて肉眼では確認できなかったけど双眼鏡では同じ視野の中にすばると彗星が同時に収まって、ちょっと感激。尾は確認できないが、かなり大きな視野角で、ぼーっと浮かんでいる。
ヘール・ホッブ彗星や百武彗星のような派手さは無いけど彗星としてはかなり明るい。しかも見付けやすい。なにしろ昴のすぐ横なんだから。
まだ数日はチャンスがあるので、興味があったら見てください。(いや、見えなくなるわけじゃないけど素人には見付けにくくなるってこと。)
で、これだけじゃ何だから昴に関する薀蓄をつらつらと。
すばるの名を知らない人はいないだろうけど実際に見た人は意外に少ないと思う。
清少納言が「星はすばる」と真っ先に書いたように全天でも一番美しいと思う。肉眼で良し、双眼鏡でよし、望遠鏡で良し。特に短焦点の広視野望遠鏡で見ると筋を引いたような星間物質の中にまたたく無数の星は宝石のように見える。天体写真では青が美しいけど、肉眼のほうが最高に綺麗。これは先にも書いたけど単体の星じゃなくて星団なのだ。(そのすぐ隣に彗星まで見えるのだから今日は最高の日である。)
場所はオリオン座(あの臼の形は冬の夜空を見上げればすぐに目に入る)の右側に向かい合うようにしてある牡牛座(星占いで有名な黄道十二宮の一つ)の背中のあたり(オリオン座の一等星、ペテルギウスから牡牛座の一等星アルデバランを挟んで反対側。上のリンクに有るページの図を参照)に夜空に浮かんだ小さな雲のように見える。目の良い人ならその中に小さな星が6〜7ケ見えるはずだ。だから別名「六連星(むつらぼし)」とも言う。ちなみに、「すばる」は縛るの古語である。星を集めてギュっと縛ったように見えるから。その他にメシエの星雲カタログで「M45」とも呼ばれる。
えーい、ついでだ、もう一つ与太話。
「昴」って言えば谷村新司の大ヒット曲。この中に「我は行く、心の命ずるままに。我は行く、さらば昴よ。」というフレーズがあるれど、ずっと疑問に思ってた。
この人、何処へ行くのだろう。
「さらば、昴よ」って、南十字星が日本で見えないように、昴の見えないところに行くとしたら何処だろう。先にも書いたように昴は黄道上の牡牛座にあるのだ。黄道ってのは太陽の通り道だから昴は太陽が見える所なら地球上の何処でも見えることになる。強いて言うなら地球から昴が見える時期、白夜が続いて星が見えない南極くらいか。
としたらこの歌、南極観測隊のテーマソングなんだろうか。
アサヒサイエンス:http://www.asahi.com/science/update/0820/001.html
KEK・プレス リリース:http://www.kek.jp/ja/news/press/2004/Bellepress5.html
エネルギーが物質になるとき( e=mc2 ってアレだ)物質と、電気的特性が逆の反物質がペアで生成される。(例えばマイナスの電荷をもつ電子に対してプラスの電荷をもつ反電子とか。)
はじめ、この物質と反物質は電気的特性以外は全く同じ性質を持つと考えられた(これをCP対称性という)が、それなら何故我々の宇宙には物質が存在するのか。生成された反物質は物質と結びついてすぐにエネルギーに戻ってしまうからだ。つまり対生成されて対消滅するからプラス・マイナスゼロになるはず。
そこで 1 1=2 にする為に我々が子供の頃には、どこかに反物質で出来た宇宙があって反物質で出来た地球があって...なんて事が想像されたけど、この魅力的な考えは残念ながら物質と反物質が消滅するのは完全に同じではないことが理論的に証明された(小林・益川理論)ため、否定された。つまり今ある物質は対消滅のバランスが崩れている結果の残り物なんである。
で、このB中間子と反B中間子の崩壊を比較観測するというのはその理論の検証実験でもあった訳だけど、CP対称性の破れは証明できたが、正確に測定したら上記の理論値を上わまわってしまった、という事だ。
理論値どうりだったらノーベル賞間違いなしだったんだが、ちとビミョーだなぁ。
もっとも新しい理論を構築するにしてもこの小林・益川理論が下敷きになる訳だろうから日本人としては期待しちゃうけどな。
いや、この観測結果そのものがノーベル賞物かも。(わくわく)
ついでに標準理論に付いてもちょっと補足しておくと
宇宙を構成している力には4っの力がある(7っの力じゃないよ)。
重力、電磁気力、強い力(核力)と弱い力、である。このうち強い力と弱い力ってのは原子レベルで働く力なので実感はないが。
でも世の中にはもっといろいろな力があるじゃないか、火力とか水力とか風力とか、筋力とか持久力とか。しかしこれらは全部この4っの力の変形、応用なのだ。
さらにこの力はビッグバン初期の物質や光も生まれていない超高エネルギー状態では一つのものだったのが、相転移して4っに分かれたのではないか、という考えから、これらの根源を統一的に説明しようという試みがなされている。
そして電磁気力と弱い力が本来同じ物であると証明したのが統一理論と呼ばれる。
さらに強い力を統合した物を大統一論と呼ぶが、これはまだ完成していない。
現在、強い力を説明するのは量子色力学(いや、べつに量子に色が付いてる訳じゃなくて、3種類のクォークの組み合わせを考えるとき色の三原色に例えると解り易いってだけのネーミング)で、これと先の統一理論を合わせて標準理論と呼んでいる。重力に至っては重力波の観測すら出来ていない状態だからまるで解らない、という所。
反宇宙の話が出たんでもう一つ与太話を。
反物質で出来たもう一つの宇宙は否定されたけど、最近の量子力学では多世界解釈というのがまじめに議論されているらしい。(”らしい”ばかりだな。まあ素人の言うことだから上の文も含めて眉に唾を付けて読んで下さい。)
素粒子はある広さを持った空間に確率的にしか存在しないのだが、実際に観測すると、特定の場所に存在することが判る。つまり不確定性原理で何処にあるか理論的に確定できないはずの物が、観測すると確率的に分布する中の一点に粒子として存在する。それでは存在するはずの他の確率は何処へ行ってしまったのか。
現在の量子力学ではこれを波動関数の収束といって、在るがままに受け入れているが、アインシュタインをして「神はサイを振らない」と言わしめたほど奇妙な現象なのだ。
つまり我々は現実には神の振ったサイコロの目の上に住んでいる訳だけれど、じつは素粒子が別の場所で観測された別の世界があって、そこには少しだけ違った自分がいる(かもしれない)という解釈である。サイコロの目の数だけ世界が在るなら神がサイコロを振ったことにはならない。
同じ時間、同じ場所に多数の世界が共存するためには4っの次元だけではなく人間に感知できない第5、第6の別の次元を仮定しないとならないので今のところ検証はできないが数学的には矛盾しない(らしい)ので否定もできない。だから理論じゃなくて解釈なのだろうけどSF的には反宇宙以上に魅力的な考え方である。
往来はできないけど、自分がどんどん分岐して別の世界で少しずつ別の人生を送っているかもしれない。しかもこれはSFじゃなくて現実にありうると考えるのはとても楽しい。
この後の報道によれば、15日から17日の間に打ち上げて地球を14週する予定だそうな。
中継もするらしいから100%の自信があるんだろう。ってゆーかガガーリンの頃みたいに失敗は闇に葬って成功だけ大々的に宣伝できる時代じゃなくなってるし(アメリカの反ソ宣伝とも言われたけどそれ以前に失敗で死人が出ているのはどうも間違いないようだ。)自信がなけりゃやらないだろう。別に今有人飛行をしなくても中国の威信が下がるってわけでもないんだから。
もう随分前から有人飛行の計画は言われてきたし地道な努力で安全が確保されたと踏んでるんだろう。ロシアの技術を入れてるとしても自前で人間を宇宙に送り込むのは大したもんである。
翻ってアメリカの技術を入れた日本のロケットは...。
この10月、ISAS、NAL 、NASDAの3機関が統合してJAXAが出来たが、先月打ち上げる予定だったH2-A、6号機はセンサーユニットの異常で打ち上げ再開の目途も立っていない。
打ち上げコストで大幅に負けてるのは人件費や打ち上げ回数の問題もあるのでしかたがないとしても技術の成熟度、安定性で大きく水を空けられてる。
使いもしない農道空港を作る予算があったら軌道エレベーターはともかく、南の島にカタパルトでも作る研究をした方がいいんじゃない?って、飛躍しすぎか。
でも、それこそ未来への投資なんじゃないの?。日本の持ってるリニアモーターカーの技術で巨大ジェットコースターを作れば実用化も夢じゃないような気がするんだけど。