さすがに91歳という御歳だから天寿を全うしたと言ってよいのだろうが、ファンという以上に、敬愛する方の死去というのは黒澤明監督以来のショックである。
名も無いファンの一人ではあるが、哀悼の意をなにか形で表せないかとトップページのロゴをモノクロにした。
私が伊福部昭を知ったのは当然ながら怪獣を中心とした映画音楽からである。
力強く繰り返されるあのリズムと日本的旋律は私の中で特別なものだった。
そして、いつの間にか映画音楽に留まらず、氏の音楽そのものを愛するようになっていた。ストラビンスキーのように力強く、それでいて日本的な、それも妙に風雅ではなく(いや、風雅な曲もあるけど)土着的な、地に根の生えた生命力にあふれる響き。
特に好きなのは大編成のオーケストラを中心とした交響曲である。
映画音楽では編成の小ささや演奏時間の短さで不満が残ることもある。ああ、この音の渦にもっと浸っていたいのに。
そんな不満を満たしてくれるのが「リトミカ・オスティナータ」や「ラウダ・コンチェルタータ」や「交響譚詩」だった。
氏の曲が掛かると演奏会に足しげく通った時期もあった。
「ラウダ・コンチェルタータ」の初演を聴いたのが自慢でもあったし、「SF交響ファンタジー」の公開録音にも行った。(懐かしい! 故、平田昭彦氏が司会を勤められた。)
ああ、またひとつ巨星が堕ちてしまった。
合掌である。